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未破裂脳動脈瘤に対するコイル塞栓術の実施にあたっての説明義務(大阪地方裁判所平成24年3月27日判決)

【事案の概要】

 Y病院において、血管内コイル塞栓手術を勧められ、同手術を受けたが、術後に正常圧水頭症を発症し、さらに脳室-腹腔内短絡術を受けたXが、上記の各手術を経て重篤な高次脳機能障害が残存したことについて、血管内コイル塞栓術の危険性に関する説明義務違反があるとした事例

 

【判決要旨】

 裁判所は、まず、未破裂脳動脈瘤に対するコイル塞栓術の実施にあたっての説明義務に関する最高裁判所の凡例(最高裁判所18年10月27日第二小法廷判決)の要旨を述べたうえで、次のように述べました。

 

 「未破裂動脈瘤に対するコイル塞栓術を実施するに当たり、原告に対し、原告の未破裂動脈瘤の状態(危険性や予後)、コイル塞栓術の内容及び合併症の危険性、医療水準として確立された他の療法である開頭クリッピング術及び保存的治療の内容、開頭クリッピング術及び保存的治療をコイル塞栓術と比較した場合の利害得失、予後の見通しについて、原告が熟慮の上で判断できるよう分かりやすく説明すべき義務があると解される。」ところ、「原告に対し、本件動脈瘤の自然破裂率及び生存率、本件コイル塞栓術に伴う合併症の発生率、不完全塞栓に終わる危険性については説明していなかった。」この点につき、「脳動脈瘤の破裂率や合併症の発生率に確証がなかったとしても、確証がないことを留保した上で、具体的な数字を挙げて説明することは可能であり、そのような留保付きの説明であっても、原告の判断に資するものであったと考えられる。したがって、未破裂脳動脈瘤の自然破裂の危険性及びコイル塞栓術の合併症の発生率について、確かなエビデンスのある数値が明らかではなかったことを考慮しても、上記のように具体的な数字を挙げることは説明義務の内容に含まれるものと解される。」としたうえで、被告病院には、「未破裂動脈瘤の自然破裂の危険性とコイル塞栓術の合併症の発生率について、具体的な数字を挙げて説明を尽くさなかった点において、説明義務違反があったというべきである。」と判断しました。