医療事故調査制度がスタートしてから10年という大きな節目を迎え、医療安全を取り巻くルールが今、大きく変わろうとしています。
昨年末、医療事故調査制度等の医療安全に係る検討会において、これからの医療安全施策の指針となる報告書がまとめられました。この報告書では、今後の方向性として大きく「医療機関における安全管理体制の強化」と「医療事故調査制度の運用改善」という2つの柱が掲げられています。
第一の柱である「医療機関における安全管理体制の強化」について、現場ではさまざまな課題が浮き彫りになっていました。事故報告の少なさや、分析のための時間・専門知識の不足といった点のほか、集まった報告が現場の改善に十分に活かされていないことなどが大きな問題として指摘されています。
第二の柱である「医療事故調査制度の運用改善」については、施設ごとに医療事故と判断する基準や報告数にばらつきがある現状が指摘されました。そのため、病院内で事故かどうかを判断する手順を明確化し、関係者への研修を充実させることが不可欠だとされました。また、せっかく医療事故調査・支援センターが取りまとめている「医療事故の再発防止に向けた提言」が、わずか1割程度の医療機関でしか新たな取り組みに結びついていないという実態も明らかになっています。
これらの提言を受け、本年に入ってから具体的なルール作りが急速に進んでいます。 4月から施行された新たなルール(医療法施行規則の改正)により、医療現場での義務が追加されています。具体的には、医療機関への「医療安全管理者」の配置が義務付けられたほか、事故の該当性を判断した結果及び理由やご遺族への対応内容などを適切に「記録・保存」することも正式に義務化されました。加えて、病院の責任者等に対する研修の受講もルール化されています。その他にも、昨年末発出された報告書を受け、「医療機関における安全管理体制の強化」と「医療事故調査制度の運用改善」が進められています。
このように、より安全な医療を提供するための土台作りは着実に前進しています。しかし、医療事故調査制度を含め、日本の医療安全施策はまだ発展途上の段階にあります。この点、昨年末発出された報告書には、今後も継続的な議論を実施するために、ワーキンググループを発足させるなどの手当をすべきと提言されているところです。今後の医療安全施策のあるべき姿について、新たに設置されるであろうワーキンググループにおいて、さらに建設的な議論を深めていくことが求められています。